QUESTION

全額損金の生活障害定期保険か、全額損金の定期保険への加入を検討中です。これらの保険を法人で加入すると全額損金になるところまでは理解していますが、加入の途中で払済にすることは可能ですか?保険料を払えない時に、そういうオプションが取れると助かります。

ANSWER

確かに経営戦略上、これ以上、保険料を支払いたくない場合に支払いをストップできるオプションは魅力的です。しかし、税務上のリスクがあることも正しくご理解下さい。

そもそも払済というオプションはあまり現実的ではありません。

「加入の途中で払済にすることは可能ですか?」とのことですが、原則として

  • 全額損金の生活障害定期保険
  • 全額損金の定期保険

 いずれの商品もその保険期間中に、解約返戻金をもとに払済(保険料払込済の終身保険)に変更することができます。保険商品のパンフレットを見ても、たいていの商品で払済に変更できるオプションが紹介されています。

 ただし、別のよくあるご質問「節税保険は途中で保険料の払い込みを止めて払済という形にできる?」でも紹介しましたが、法人契約の生命保険を払済に変更する場合、税務上のリスク(洗い替えと呼ばえる経理処理)が発生するため、払済というオプションはあまり現実的では無くなります。注意が必要です。

  • 全額損金の生活障害定期保険
  • 全額損金の定期保険

 どちらの商品も大きなジャンルで言えば定期保険の仲間。その名の通り、“期間に定めがある(継続していけば最終的には価値が無くなってしまう)”ことから、その保険料に損金性が認められています。

「洗い替え」と呼ばれる経理処理のし直しが必要です。

 一方で、終身保険に期間の定めはありません。継続していった場合も、最終的には保険金か解約返戻金のいずれかを受け取ることができるため、その価値が無くなることはありません(これを資産性があると言ったりします)。そのため、別のよくあるご質問でも紹介しましたが、終身保険は支払った保険料は保険積立金という科目で全額資産計上。損金扱いとすることができません。

 全額損金だった保険を、解約返戻金をもとに払済(保険料払込済の終身保険)に変更することで、それまで資産性のなかった(損金参入が認められていた)保険が、急に資産性のある(損金にならない)保険に切り替わります。そのため、俗に「洗い替え」と呼ばれる経理処理のし直しをする必要があります。



【例:現在加入している全額損金の定期保険】

  • 年間保険料100万円(全額損金)。
  • これまでに払い込んだ保険料は500万円(5年間継続中)。
  • 解約返戻率は現在80パーセント(400万円)。


 例えば、上記の全額損金の定期保険を払済にした(払込済終身保険に切り替えた)場合、解約返戻金と帳簿上の評価との差額を利益(雑収入)として計上する、洗い替えの経理処理が必要になります。

法人保険の払済は、あまり現実的では無い?

 全額損金の保険商品ですから帳簿上の評価はゼロ円(帳簿上ではこの保険は全く価値の無いものと評価されています)。そのゼロ円評価だった保険契約を払済に変更することで、この保険契約は急に400万円近い終身保険(資産)に切り替わります。そのため、400万円(解約返戻金)-0円(帳簿上の評価)=400万円を差額として、利益(雑収入)計上する必要があります。

 洗い替え経理処理の場合は、通常の保険解約と違い実際に手元資金は全く増えず、大きな利益(400万円)だけが計上されます。法人の決算が黒字であれば利益全てが法人税の対象となります。安易に行えば、資金繰りを苦しくしてしまうことにつながるため注意が必要です。

 原則として、全額損金の生活障害定期保険や全額損金の定期保険に限らず、法人契約の保険において、払済というオプションはあまり現実的では無い、ということをご理解下さい。

例外として養老保険だけは「洗い替え」経理処理が不要。

 ただし、別のよくあるご質問でも紹介しましたが、例外として法人契約の養老保険だけは、この「洗い替え」と呼ばれる経理処理が不要となります。併せて参考にしてみて下さい。