QUESTION

法人の節税保険、保険料を前納して今期の損金として全額を損金(一括経費)にすることできますか?

ANSWER

法人の節税対策に活用される保険の中には、前納(数年分の保険料をまとめて先払いすること)できる商品もございます。ただし、今期の損金として計上できるのは、向こう1年分のみ。前納した保険料全てを損金計上することは出来ません。注意が必要です。

今期の損金として計上できるのは、向こう1年分のみです。

「法人の節税保険、保険料を前納して…」とのことですが、法人の節税対策に活用される保険の中には、前納(数年分の保険料をまとめて先払いすること)できる商品もございます。



【例:新規に加入を検討している保険】

  • 年間保険料1,000万円(全額損金)。
  • 5年目ピークの解約返戻率は90パーセント(4,500万円)。


 この場合、ピークになるまでの5年分の保険料5,000万円をまとめて先払い(前納)することも可能です。ただし、今期の損金として計上できるのは、向こう1年分の1,000万円のみ。5,000万円すべてを損金計上することは出来ませんので注意が必要です。

年払い保険料は短期前払費用の特例によって損金計上が認められる。

 そもそも、決算ギリギリに支払った年払い保険料が損金として認められる背景には、下記の「短期前払費用」という考え方が存在します。



2 短期前払費用

 法人が、前払費用の額で、その支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った金額を継続してその事業年度の損金の額に算入しているときは、1にかかわらず、その支払時点で損金の額に算入することが認められます。

 ただし、借入金を預金や有価証券などに運用する場合のその借入金の支払利息のように、収益と対応させる必要があるものについては、たとえ1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入することは認められませんので注意してください。

(法基通2-2-14)

参考:国税庁ホームページ No.5380 短期前払費用として損金算入ができる場合より


 この「支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った金額を継続してその事業年度の損金の額に算入しているときは、1にかかわらず、その支払時点で損金の額に算入することが認められます」という点がポイントです。

 簡単に言えば、

  • 支払った日から向こう1年以内に提供を受ける役務(サービス)であること。
  • 支払った金額を継続して損金額としていること(継続性があること)。
  • 上記の2つの条件が揃っている場合に限り、特例として支払い時点で損金にしても良い。

 というのが短期前払費用の特例です。年払い保険料以外にも、向こう1年分の家賃を年払いして損金として落とせるのも、この短期前払費用の特例に当てはめた処理です。

損金になるのは1年分だけ。資金繰りだけ厳しくなってしまう。

 短期前払費用の特例の考え方を踏まえたうえで、下記の保険を前納した場合を想定すると



【例:新規に加入を検討している保険】

  • 年間保険料1,000万円(全額損金)。
  • 5年目ピークの解約返戻率は90パーセント(4,500万円)。


 ピークになるまでの5年分の保険料5,000万円をまとめて先払い(前納)しても「支払った日から向こう1年以内に提供を受ける役務(サービス)分」は、1年分の1,000万円のみ。5,000万円すべてを損金計上することはできません。

 仮に5,000万円を前納した場合も、保険は経過期間に応じて1,000万円ずつ5年をかけて損金計上となります。5年分の保険料をキャッシュアウトしても、損金になるのは20パーセントの1年分(1,000万円)だけ。資金繰りだけ厳しくなってしまうため、現実的に節税対策として保険料を前納することはまずありません。

 特別要因で大きな利益が出ている場合など、今期だけ大きく節税したいお客様の中には「保険料の前納を使った節税対策ができないか?」と考える方もいらっしゃるかもしれません。ただし、「法人の節税対策に活用される保険で前納というのは全く効果的では無い」と、ご理解下さい。

 短期的な節税対策や利益の繰り延べを検討されている場合、前納よりもより効果的な節税方法もございます。どうぞお気軽にお問い合わせ・ご相談を頂ければと思います。