QUESTION

法人契約で損金になる保険を検討中です。数年後に万が一業績が悪化し、赤字決算にならないために、今のうちから損金で落ちて解約時には解約返戻率の高い保険に加入しておく方法があると聞きました。赤字決算を防ぐために節税用の保険を解約していくのは有効でしょうか?

ANSWER

赤字決算を防ぐために、帳簿の外に解約返戻金という形で含み資産を構築する。そして、万一の時に保険を解約して解約返戻金で赤字を補填する、というのはよく行われる節税保険活用の一つです。

保険解約による赤字補填はよく行われる活用法です。

「赤字決算を防ぐために保険を解約していくのは有効でしょうか?」とのことですが、実際、赤字決算を防ぐために、帳簿の外に解約返戻金という形で含み資産を構築する。そして、万一の時に保険を解約して解約返戻金で赤字を補填する、というのはよく行われる節税保険活用の一つです。

 万一に備えて会社の基礎体力をつけ、財務基盤を強固にする意味でも節税保険を使って含み資産を構築しておくことは非常に有効です。ただし、実際に保険商品を解約して赤字の補填とする場合、注意すべき点もいくつかございます。参考にしてみて下さい。

赤字補填に使う場合は、解約する保険の損金性に注意する。

 一つ目のポイントは、解約する保険の損金性です。

 例えば、支払った保険料が全額損金になる保険商品を使って含み資産(解約返戻金)を構築していく場合、保険料を支払っている期間中は保険の帳簿上の価値(評価)はずっとゼロ円のままです。

 そして、いざ赤字になりそうなタイミングでこの保険商品を解約した場合、帳簿上の価値ゼロ円だったものが現金化されるため、当然ですが戻ってくる解約返戻金は全てが利益計上(雑収入)となります。解約返戻金イコール利益となるため、言い換えれば、解約返戻金を効率よく利益計上し、赤字の補填をすることができると言えます。

例1:

  • 年間保険料1,000万円(全額損金)。
  • 10年間支払うと解約返戻金がピーク。
  • ピーク時は90パーセントの解約返戻率(9,000万円)。
  • ピーク時に解約した場合は、9,000万円がそのまま利益計上。



 一方で、現在の税制下における逓増定期保険など、支払った保険料が半分(1/2)損金になる保険商品の場合、保険料を支払っている期間中は保険料の半分を資産として計上していきます。帳簿上では支払った保険料合計のうち、その半分の価値がある資産として評価されます。

 そして、いざ赤字になりそうなタイミングでこの保険商品を解約した場合、帳簿上である程度価値のある資産を現金化するため、帳簿上の評価と実際に戻ってくる解約返戻金との差額を利益(雑収入)として計上します。

 この場合、全額損金の商品と違って解約返戻金イコール利益(雑収入)とはなりません。実際に戻ってきた金額よりも計上できる利益額(赤字の補填額)は小さくなってしまうため注意が必要です。実際に保険商品を解約して赤字の補填とする場合は、解約する保険の損金性にも注意するようにして下さい。

例2:

  • 年間保険料1,000万円(半分損金)。
  • 10年間支払うと解約返戻金がピーク。
  • ピーク時は90パーセントの解約返戻率(9,000万円)。
  • ピーク時に解約した場合は、資産計上されている5,000万円と解約返戻金9,000万円の差額4,000万円を利益計上。

保険の解約返戻金は、あくまで営業外の損益です。

 もう一つのポイントは、保険の解約返戻金を金融機関がどう評価するのかという点です。

 赤字決算を嫌がる法人の中には、金融機関からの借り入れをしているケースも多いと思います。特に融資ありきのビジネスをしている場合、融資を受けるためにも、決算書の見栄えは重要な要素となります。

 そのため、対金融機関の評価を考え、

  • 将来的な赤字決算を避けるために節税保険への加入を検討する。
  • 保険を使った含み資産構築を検討する。

 というお客様も多くいらっしゃいます。

 ただし、保険の解約で発生する利益はあくまで営業外の損益。仮に保険を解約して本業の赤字を補填したとしても、金融機関からの評価を高めることには繋がりにくいため、注意が必要です。

 融資を行う金融機関が法人を評価するポイントは本業部分の収支です。一方で、法人保険の解約返戻金は営業外の収支。業績が悪化した際に保険を解約し、全体としては決算書を黒字にすることができたとしても、保険の解約返戻金による赤字補填が銀行の評価が高めることには繋がらない、ということをどうかご理解下さい。

  • 金融機関の評価はあまり気にしない。
  • 決算書は赤字か利益トントンに近い形でも全く問題ない。

 という場合には、もちろん万一に備えて会社の基礎体力をつけ、財務基盤を強固にする意味でも節税保険を使って含み資産を構築しておくことは非常に有効です。参考にしてみて下さい。