QUESTION

逓増定期保険を活用した節税対策を行う場合、解約返戻率のピーク時期に、その解約返戻金を原資に別の逓増定期保険に乗り換えていく方法があると聞きました。本当にそんな方法があるのでしょうか?

ANSWER

逓増定期保険を部分的に解約し、その解約返戻金を原資として、新しい保険契約に乗り換えていくことは可能です。

既存の解約返戻金を原資に、新しい保険契約へ乗り換えていく。

 別のよくあるご質問の中でも紹介しましたが、節税対策に活用される保険商品の多くは、解約返戻金を部分的に解約することができます。この仕組みを上手く利用することで、出口対策が無いままピークを迎えてしまった保険の解約返戻金を、期をまたいで部分的に解約し、利益を分散していくことができます。

 そして、この部分的な解約で発生した解約返戻金を原資として、新しい保険契約へ乗り換えていくことが可能です。例えば、出口対策(戦略)の無かった逓増定期保険を3回に分けて部分的に解約し、3回に分けたその解約返戻金を使って、出口戦略がしっかりした節税保険(例:法人が3回支払い、個人に名義変更して完結する)プランに切り替えていくこともできます。

損金性が異なる商品の乗り換えは注意して節税プランを組む必要がある。

 ただし、損金性の異なる商品への乗り換えは、解約返戻金だけでなく発生する利益も加味しながら節税プランを組む必要があります。注意が必要です。

 例えば、別のよくあるご質問「逓増定期保険の解約返戻金を3期に分散して解約できる方法があると聞きました。」の中で紹介した下記の逓増定期保険の場合、


例:

  • 年間保険料1,000万円(税制改正前の契約で全額損金)。
  • 決算ギリギリに契約(契約日は決算末)。
  • 10年間支払うと解約返戻金がピーク。
  • ピーク時は90パーセントの解約返戻率(9,000万円)。
  • 既に9年間払い込みしており、次回の払い込みで解約返戻金がピークとなる。

解約返戻金のピーク対策例

1.Aの期で10回目の払い込みを行い期末時点で解約返戻金をピーク(9,000万円)の状態にします。

2.翌B期の期首に部分解約で、1/3の3,000万円だけを解約(期首に解約することで期末までの12ヶ月を使ってこの3,000万円を使うことができます)。

3.B期末に11回目の保険料の払い込みはせず、払い込みの猶予期間(年払いの場合は通常2ヶ月ほど)を使って、保険契約を失効させずに翌C期まで継続。

4.C期首に部分解約で、残り6,000万円の解約返戻金から3,000万だけを再び部分解約。払い込みの猶予期間が過ぎた保険契約は、残り3,000万円の解約返戻金とともに6月以降に失効させます(冷凍保存のような状態になります)。

5.翌D期首に失効していた保険契約から残り全ての3,000万円の解約返戻金を解約。

 これで、B期、C期、D期にそれぞれ3,000万円ずつ、3期に分けてピークになった逓増定期保険の解約返戻金を分散して解約することができます。


 上記のように、確かにピークを迎えた逓増定期保険の解約返戻金9,000万円を3,000万円ずつ3期に分けて(分散して)解約することができます。しかし、この3,000万円を使って、安易に新しい逓増定期保険に加入してしまうのは禁物です。

 というのも、過去に契約した逓増定期保険とこれから契約する逓増定期保険は、その損金性が異なるためです。

全額損金の商品を解約して半分損金の商品に切り替えていく場合。

 税制改正前に加入した逓増定期保険は支払った保険料が全額損金(帳簿上はゼロ円の価値)となります。解約した場合は、帳簿上ゼロ円だったものが現金化されるわけですから、当然、解約した返戻金は全てが利益計上(雑収入)となります。

 一方で、新しく契約する逓増定期保険に関しては原則として支払った保険料のうち半分(1/2)が損金。解約分をそのまま安易に保険料に充ててしまえば、資金的には帳尻が合っても、決算上は帳尻が合わなくなってしまうので注意が必要です。

 例えば、仮に、3,000万円ずつ部分解約した返戻金を、そのまま年間保険料3,000万円の逓増定期保険の支払いにあてた場合、資金的には3,000万円が戻ってきて、再び3,000万円を支払うわけですから帳尻が合います。

 一方で、決算上は部分解約された解約返戻金3,000万円がそのまま利益となる一方で、逓増定期保険の保険料として支払った3,000万円は、その半分の1,500万円しか損金にすることができません。残りの1,500万円に対しては、黒字であれば課税対象となってしまいます。注意が必要です。

 この辺りなかなか一筋縄ではいかないものです。弊社では、お客様の決算状況や保険契約の内容に応じて、スムーズに新しい保険へ乗り換える最適な節税プラン(乗り換えプラン)を組み立てることも可能です。どうぞお気軽にお問い合わせ・ご相談を頂ければと思います。