QUESTION

逓増定期保険の加入を検討しています。退職時期に実質返戻率のピーク時期をあわせ、役員退職金の原資にしようと考えています。ただ、実際その時期に役員退職するかどうかは、まだ決まっていません。もし、退職の予定が無くピークを迎えてしまった場合でも、貯まった解約返戻金を一気に解約するのではなく3期に分散して解約できる方法があると聞きました。もし、それができるなら利益をある程度分散できるので知っておきたいです。具体的にどのような方法を使うのでしょうか?

ANSWER

節税対策に活用される保険商品の多くは、その解約返戻金を部分的に解約することができます。この仕組みを上手く利用して期をまたぎながら解約返戻金を部分解約し、利益を分散していくことができます。

そもそも出口対策(戦略)の無い節税保険はオススメできない。

 今回はご加入前にご相談を頂いておりますが、既に加入している逓増定期保険が解約返戻金ピークを迎えている。あるいは、まもなく解約返戻金のピークになる逓増定期保険がある、といったお客様からも、よく解約返戻金のピーク対策についてご相談を頂きます。

  • 過去に目先の節税目的で、とりあえず逓増定期保険に加入してしまった。
  • 当初は数年後の役員退職金の原資として逓増定期保険に加入したつもりだった。

 しかし、

  • 利益を繰り延べた後、ピークを迎える解約返戻金の使い道(出口)まで計画していなかった。
  • 当初の退職時期がずれて解約返戻金のピークに充てる損金性のイベントが無くなってしまった。

 というケースはよくあります。ただし、逓増定期保険に限らず、大前提として出口対策(戦略)がしっかりとしていない節税保険の加入はあまり好ましい入り方では無いということをどうかご理解下さい。

期をまたぎながらピークの返戻金を部分的に解約していく。

「もし、退職の予定が無くピークを迎えてしまった場合…」とのことですが、実際にこういった状態を解決する方法はいくつか考えられます。お客様がおっしゃる通り、貯まった解約返戻金を何期かに分けて解約し、利益を分散していくのも効果的な方法の一つです。

 節税対策に活用される保険商品の多くは、たとえ一つの契約だとしても、その解約返戻金を部分的に解約できる仕組みが付いています(実際には保険金額の減額を行うことで、部分的な解約を行います)。この仕組みを上手く利用することで、期をまたぎながら解約返戻金を部分解約し、利益を分散していくことができます。

 例えば、

  • 年間保険料1,000万円(税制改正前の契約で全額損金)。
  • 決算ギリギリに契約(契約日は決算末)。
  • 10年間支払うと解約返戻金がピーク。
  • ピーク時は90パーセントの解約返戻率(9,000万円)。
  • 既に9年間払い込みしており、次回の払い込みで解約返戻金がピークとなる。

 という逓増定期保険の場合を想定します。この場合、次回の払い込み後に何もせず保険を全て解約をしてしまえば、1つの期に9,000万円の利益(雑収入)がまるまる発生します。黒字が出ていれば解約返戻金が法人税の対象となります。

 こういった場合、どのように3期に分けて解約していくのかと言うと…

解約返戻金のピーク対策例

1.Aの期で10回目の払い込みを行い期末時点で解約返戻金をピーク(9,000万円)の状態にします。

2.翌B期の期首に部分解約で、1/3の3,000万円だけを解約(期首に解約することで期末までの12ヶ月を使ってこの3,000万円を使うことができます)。

3.B期末に11回目の保険料の払い込みはせず、払い込みの猶予期間(年払いの場合は通常2ヶ月ほど)を使って、保険契約を失効させずに翌C期まで継続。

4.C期首に部分解約で、残り6,000万円の解約返戻金から3,000万だけを再び部分解約。払い込みの猶予期間が過ぎた保険契約は、残り3,000万円の解約返戻金とともに6月以降に失効させます(冷凍保存のような状態になります)。

5.翌D期首に失効していた保険契約から残り全ての3,000万円の解約返戻金を解約。

 これで、B期、C期、D期にそれぞれ3,000万円ずつ、3期に分けてピークになった逓増定期保険の解約返戻金を分散して解約することができます。

これはあくまで一つのケースです。最適なプランは異なります。

 ただしこれはあくまで一つのケースに過ぎない、ということをどうかご理解下さい。各保険会社、各保険商品によって条件が異なり、そのまま上記の事例を当てはめることができない可能性もございます。また、保険契約や法人の決算状況によっては単純に1/3ずつ解約していくよりも良い方法がある場合もございます。

 加えて、別のよくあるご質問でも紹介しましたが、出口対策(戦略)の無かった逓増定期保険を3回に分けて部分的に解約し、3回に分けたその解約返戻金を使って、出口戦略がしっかりした節税保険(例:法人が3回支払い、個人に名義変更して完結する)プランに切り替えていくことも可能です。

 この辺り、お客様の状況に合わせて最適なプランを組み立てることができます。お気軽にお問い合わせ・ご相談を頂ければと思います。