QUESTION

契約者法人で長期平準定期保険に加入中です。役員でもある妻を被保険者としていましたが、別会社の社長を任せるため一旦今の会社を退職します。この場合、保険だけが残る状態となりますが、給与も支給していない人間に対して保険をかけ続けることは税務上問題になりますか?

ANSWER

原則として、退職した役員や社員にかけていた(被保険者としていた)保険は、必ず全て解約しなければなりません。保険契約を続けることはできませんので注意が必要です。ただし、お客様のケースでは例外的に保険契約を売却することや、役員退職金として支給する選択肢も考えられます。参考にしてみて下さい。

退職した役員や社員の保険は、必ず全て解約しなければなりません。

「別会社の社長を任せるため一旦今の会社を退職します…」とのことですが、別のよくあるご質問でも紹介しましたが、退職した役員や社員にかけていた(被保険者としていた)保険は、必ず全て解約しなければなりません。保険契約を続けることはできませんので注意が必要です。

「給与も支給していない人間に対して保険をかけ続けることは税務上問題になりますか?」とのことですが、

  • 会社に所属していない人間を被保険者として法人契約の保険に加入し続ける。
  • その契約で支払った保険料を損金処理している。

 こういった行為は税務上、租税回避行為とみなされます。税務調査で否認される可能性が高いため、原則として被保険者の退職が決まった段階ですぐに解約手続きを進めて下さい。

解約返戻金が低い場合は、法人間で名義変更(売却)することも。

「役員でもある妻を被保険者としていましたが、別会社の社長を任せるため…」とのことですが、この場合、例外的な選択肢として、

  • 解約返戻金がまだ低い状態であれば、法人間で取引をして保険契約を別会社に売却する。
  • 解約返戻金がある程度貯まっている状態であれば、役員退職金として支給する。

 という方法が考えられます。

「解約返戻金がまだ低い状態であれば、法人間で取引をして保険契約を別会社に売却する」に関して、別のよくあるご質問でも紹介しましたが、長期平準定期保険を含む法人保険は「その保険を解約したと仮定した場合に支払われる金額」を評価額(時価)として法人間、あるいは法人と個人間で取引することができます。



(保険契約等に関する権利の評価)

36-37 使用者が役員又は使用人に対して支給する生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する共済契約に関する権利については、その支給時において当該契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額)により評価する。

所得税基本通達36-37

参考:国税庁ホームページ 所得税基本通達36-37より


 契約してから間もない、あるいは解約返戻率が低く抑えられた低解約期間中の長期平準定期保険であれば、評価額(時価)もそれほど高くありません。

  • 必要書類を作成し、別会社から現契約者の法人に対して解約返戻金相当額(その他未経過保険料等含む)を支払う。
  • これにより長期平準定期保険の契約者が、現契約者→別会社へ名義変更される。

 といった対応が可能です。

 法人間で名義変更すれば保険契約を解約する必要はありません。早期解約による現金の目減りリスクを避け、別会社で長期平準定期保険を引き継いで保険契約を継続させることができます。

ある程度の解約返戻金が貯まっている場合は役員退職金として支給。

 一方で、長期平準定期保険を契約してから年数が経ち、ある程度の解約返戻金が貯まっている場合は、解約返戻金を原資に役員退職金を支給してしまうのも効果的です。

 解約返戻金が高額であれば、前述の法人間での名義変更はあまり効果的ではありません。保険契約を買い取る別会社は、多額のキャッシュ(掛け金によっては数千万円以上)を用意する必要があるため、現実的な選択肢とは言えません。

 この場合、

  • 契約者は現在の法人のまま長期平準定期保険を解約。
  • 現契約者の法人に支払われた解約返戻金を原資として別会社に移る役員(奥様)の役員退職金を支給。

 というのが現実的な選択肢になるかと思います。

 もちろん、役員退職金は「=役員最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率」以上を支給することができませんが、保険契約で発生する利益のほとんどを損金とすることができます。長期平準定期保険で繰り延べてきた利益の出口を作ることにもつながります。

 お客様の状況や契約形態によって、適切な対策は異なります。ご不明な点等ございましたら、お気軽にお問い合わせ・ご相談を頂ければと思います。